• akasezawa

今、伝えたいこと

今、自殺者の急増が大きな問題になっていて、最早、待ったなしの状況です。

11月、自殺で亡くなった方は全国で合わせて1798人、去年の同じ時期より182人増えました。更に7月から5ヶ月連続で前年を上回っており、新型コロナ・ウイルスの影響が徐々に数字になって表れてきているのと考えられますが、この数字のあがり方は異常です。

    今年    (前年)    増加幅

7月  1851人 (1793人) 58人

8月  1910人 (1603人) 307人

9月  1849人 (1662人) 187人

10月 2158人 (1539人) 619人

11月 1798人 (1616人) 182人


数字の先に、ひとりで孤独に苦しみ、命を落としてしまった人々がいます。仕事を失った人、貧困に追い詰められ、日々の食事に困窮している人。ステイホームで自粛生活を続けるうちに精神的に追い詰められてしまった人もいるかもしれません。家族は必ずしもセーフティネットとして機能するとは限りません。特に気になるのは、女性の増加です。11月の自殺者数は男性が1169人で前年同月比8%増に対し、女性は629人で前年同月比19%増。10月は男性が1306人で前年同月比22%増。女性は852人でなんと83%増という驚きの数字となっています。

厚生労働省は、その背景として非正規雇用の失業者は女性が多く、家庭内暴力(DV)の相談件数が全国で5割増えていることなどを挙げ、コロナ禍で浮き彫りになった複数の問題が自殺者増に影響している可能性がある、と発表しました。社会でも、家庭でも、力関係的に弱い存在がまっさきに影響を受けます。社会でなにかが「決壊」し始めているのかもしれません。


このホームページを見てくれる人がいます。何人の人が訪ねてきてくれたのかが数字でサイト運営の会社から報告されるので、名前も知らないけれど、誰かがホームページを訪ねてきてくれたことはわかります。最近、その誰かのことがとても気になっています。もし、悩んでいる人が“自殺”と検索して、このホームページにたどり着いた時、この文章を読んでほしいなと思って今、書いています。


私は、「牧師といのちの崖」で自殺の名所、三段壁を取材しました。

ここでいのちの電話を運営する藤藪庸一牧師を撮影させてもらいながら、たくさんの自殺志願者たちの話を聞かせてもらいました。「生きているのがしんどい。」「もう死ぬしかない。」「私が死んでも、誰も悲しまない‥。」多くの人がそんな思いを抱えながら、いのちの電話を手にとります。死にたい、という思いに一度囚われると、なかなかその思いから抜け出せません。頭の中でループするように、そのことばかり考えてしまうのです。ある人はビルで仕事をしている時、ここから飛び降りたら楽になるのに、という思いが頭から離れなくなったと言います。その恐怖は感じた人にしかわからない強いものだと思います。


私はその死にたいという思いに囚われてしまった人たちが、徐々に元気を取り戻していく様子をたくさん見てきました。本当にたくさんです。どんなにどん底にいる人も、少しずつ、笑顔を取り戻していくことができるのです。


勝手なことを言わないでくれ、とあなたは思うかもしれません。私の気持ちはあなたにはわからない、と。確かにそうかもしれません。私にはわかないかもしれません。しかし、苦しい時、その苦しさを誰かに伝えることで、人々が救われてきたことを私は取材を通じて教えてもらいました。三段壁のいのちの電話には、そうしたギリギリだった人たちがかろうじてつながり、もう一度生きられるようになった再生の物語がたくさんありました。多額の借金を抱えていた人もいました。家を失った人もいました。友人や家族とも縁をきり、ひとりになって孤独に苦しんだ人もいました。


でも、誰でも生きていくことができます。今、もし死にたいと思う気持ちがおさえきれないとしたら、どうかその気持ちを誰かにつたえてほしいと思っています。そうした相談窓口はあるし、僕に牧師といのちの崖のフェイスブックでメッセージしてくれてもいいです。しんどい気持ちを伝えてほしいと思っています。


「牧師といのちの崖」で三段壁にやってきて、いのちの電話をした時のことをインタビューで答えてくれた人がいます。その方は電話で藤藪さんとつながった時、感情をおさえきれず涙が溢れた、と教えてくれました。「死ににきて、できなくて‥。」そして、「助けてください。」「助けてください。」何度も繰り返すようにいのちの電話の先にいた藤藪さんに語りかけたと言います。それまでひとりで悩んでずっと押し込めてきた感情が、電話がつながった時、溢れ出てたと教えてくれました。人の感情にはそれを受け止めてくれる誰かの存在が必要だと私は思っています。


新型コロナ・ウイルス禍で生活が困窮し、明日の生活さえ見えないまま毎日を過ごさなくてはいけないのは本当にしんどいことです。そして、そのしんどいという思いを孤独に抱え続けることは、さらに人を追い詰めていきます。人と人が満足に会えない時間が今も続いています。「牧師といのちの崖」を作って、私は「人はひとりでは生きられない。」という当たり前の事実を再確認したように思っています。きれい事みたいに聞こえるかもしれません。でも、本当にしんどい時にこそ、誰かの存在が必要です。悩んでいるあなたに寄り添ってくれる誰かがきっといます。そして、あなたがまた笑える日がくると、私は信じています。


<相談窓口>

厚生労働省は、電話のほか、メールやSNSなどでも相談を受け付けています。 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

こころの健康相談統一ダイヤル(0570・064・556)


牧師といのちの崖フェイスブックページ

https://www.facebook.com/bokushitogake

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